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建築家トップ > コラム > 第8回 地震に備える 構造と内装の視点から > 阪神大震災から10年が過ぎて

第8回 地震に備える 構造と内装の視点から
・・・阪神大震災から10年が過ぎて・・・
河合政也  河合政也+株式会社河合設計

2005年1月17日、阪神大震災から10年が過ぎました。あの朝のことは今でもよく覚えています。私は当時、高校生で、震源地から遠くはなれた大阪に住んでいたのですが、それまで、大きな地震を体験したことのなかった私にとって、初めて、本気で恐いと感じる振動を布団の中で感じ、動揺しました。そして、夜が明けてテレビをつけた瞬間、想像を絶する世界が目に飛び込んできたのでした。

あれから、10年。私は大学に入学し、建築設計について学びました。大学院では狭小住宅について研究していたのですが、そこで構造に関する建築基準法の矛盾点を知ったのです。

それは建築基準法では「専用住宅」「木造」「2階建て」「軒高9m以下」「最高の高さ13m以下」「延面積500以下」という条件の建築物については構造計算をしなくても良いという点でした。

もちろん、構造計算をしなくていい代わりに、基準法で定められた、壁の量や配置を制限する簡易な計算はしなくてはならないのですが、以前、私はその計算を十分満たして私が設計した70程度の家を、パソコンで解析ソフトを用いて、阪神大震災と全く同じ地震を入力した結果、ものの見事に倒壊するという結果が出てきてしまったのです。始めは私の設計が悪かったのかと様々な検討をしたのですが、要因は別のところにありました。

それは、20坪程度の小規模の家では空間が限られているため、間取りの都合上、どうしても家の中を仕切る壁の量を少なくせざるを得ず、壁量の少なさ故に嫌がおうにも地震に弱い建築になってしまうということでした。そこで何度かの解析を行いながら壁を強固な素材にし、私はその建築を補強したのでした。

ただ、よくよく考えると「20坪から30坪程度」「2階建て」「木造」「構造計算をしていない」の家というのは、日本に存在する家の内、かなりの数の家がこれに当てはまることに気づいたのです。つまり、阪神大震災クラスの地震が来ればそれらは全て倒壊する可能性が極めて高いということになります。これ
は大変、恐ろしいことです。また、10年前のような悲劇的な事態をもたらさぬよう、私は全ての建築物に対して、構造計算をする義務を課すように建築基準法を改正すべきだと考えています。

ですから、私が設計する建築はどんなに小さな家でも、必ず、構造計算の専門家と相談しながら、耐震性の高いものにしようと努力しています。もちろん、構造計算をするにはお金がかかるのですが、どんなに小さな家でも、もし、地震の時にそれが倒壊し、偶然、その家の前の道を歩いていた子供やお年寄りが命を失ってしまう危険性があるわけですから、構造設計料は家を建てる上で絶対に必要な費用と考えています。

建物は大きなお金が動く分、日本の建築関係者や不動産関係者の中には建物をお金もうけの道具としか考えていない人間も少なからず・・・と、いうよりはほとんどそうなのかもしれません。

しかし、10年前の阪神大震災が示したように、建築は人の財産や精神、そして命を守るものです。だからこそ、私はそういう業界の中でも常に真理に従い、建築をつくり続けたいと思っています。
阪神大震災から10年が過ぎて

 
 
河合政也+株式会社河合設計 http://www.geocities.jp/e12mkawai/
 
 
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