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建築家トップ > コラム > 第12回 セキュリティー > 防犯グッズ?

第12回 セキュリティー
・・・防犯グッズ?・・・
増井 真也  有限会社ますいいリビングカンパニー

最近セキュリティーについての対策を求められることが多くなってきている。セキュリティーというといくつかの傾向が考えられる。誰もが思いつくのが塀や門などを利用して家中を要塞のようにグルリと囲い込む方法。つまり要塞形式。この方法ではセコムなどの防犯対策とあわせて侵入者を防ぐとともにもし
侵入者があった場合にもすぐに警備員が駆けつけられる状況を作り上げることを求められることが多い。最近分譲されているマンションなどを見てみても、玄関にオートロックが付いていることなどはすでに当たり前で廊下や階段などは防犯カメラで常に監視されるようになっている。マンションとは程度の問題 に違いはあるものの、住宅の場合でもオナジことで、1階の窓には防犯あわせガラスを使用し、玄関ドアにはディンプルキーのダブルロック、そして下手をするとどこかの部屋に逃げ込めるように鍵つきの鉄板でできたふすまが内蔵された家などというのもどこかのハウスメーカーのカタログで目にしたことがあ るくらいだからやはり要塞形式が時代の主流なのかもしれない。私が設計する場合でもクライアントの要望に合わせてある程度の対策は採るようにしている。先ほど書いたようなガラスや格子などはそれほどコストがかかるものではないし、侵入者にとっても心理的な抑止効果につながるであろうという理由でたび たび利用している。ちなみにアルミサッシについている既製品の格子などはひとつわずか1万円程度で購入できる。効果のほどはさておき、コスト的にはこれ以上ないくらいに安いものなのだ。

しかしこれまで書いたような防犯対策がいったいどの程度の効果をもたらすのかと考えるとショウショウ疑問を感じてしまう。確かに視覚的な効果というのは期待できる。ひとつの鍵より二つの鍵のほうがアケにくいし(バアイによっては3つの鍵をつけたこともあるのだが)、窓に格子が付いていればガラスを割っても中に入ることはできないわけで、同じような条件の家が二つあったら入りにくいほうの家は避けるのが泥棒の気持ちというものだろう。しかしそれだけではないような気がする。

私の家のバアイ2階も1階も鍵はひとつだし、1階の事務所などはワズカ5ミリのガラスによって外部と仕切られているだけだ。敷地の周りを囲む塀など存在しないし、ゲンに毎日たくさんの近所の子供たちや散歩帰りのお年寄りが庭につながれているラブラドールのレトリバーのゴン太と遊びにやってくる。子
供たちの中には2階の住宅部分に上がる階段をアスレチックか何かと勘違いしているヤカラもいるようで、数人で徒党を組んでやってきては私に怒鳴られて帰ってくということを何度も繰り返しているかわいいワルガキ達もいるほどだ。私の家には85歳になる私の祖母と、私の両親、そして妻と子供二人、さらに 家の中にポメラニアン、外にはラブラドール、つまり毎日合計7人と2匹が生活している。さらに1階部分は事務所として利用しているので朝から晩まで常に5〜6人くらいの人が出入りしている。さらに立地状況にもひとつの工夫がある。三角形敷地に建っている私の家には死角というものがほとんど存在しない。大きく開いた南側には大きな集合住宅がありそちら側には常に百人以上の廊下を行き来する住人達の視線が存在している。これだけ人に見つかる可能性の高いところで侵入しようというのは、よほど肝の据わった強盗くらいのものだろう。

このように防犯対策といってもさまざまな手法があるのである。。商品として発表しようとするとどうしても説明しやすいグッズ関係に走りがちで、また消費者もそういうものに引き寄せられやすいものではあるのだが、自分の家とその回りの様子をちょっと見てみてほしい。いくら格子をつけても誰の目にも見
られることなく、周りには人っ子一人いない状況では、バール一本で簡単にこじ開けられてしまうということを忘れないでほしい。今の時代は他者を排除する傾向が強すぎる気がする。個人の住宅なのだからアル程度の排除は当然だ。しかし三角の家で、私は敷地の中に公共通路を作ってしまった。これは母と娘二人で暮らす家にとって玄関前の通路を近所の人の毎日の通り道にしてしまうことで、周辺環境との強い結びつきと防犯効果を期待したからである。現にこの通路は毎日本当にたくさんの近所のおじさんおばさん、そして数人の知らない人に利用されている。そしてこの玄関以外にこの家に侵入できる開口部は存在しない。つまり1階部分に窓はほとんど設けていないし、あったとしても小さいものだけにした。光は家の中央に設けられた吹き抜けを通して空から降り注ぐ。ワズカに開けられた窓から入る風は吹き抜けを通して空へと抜けていく。

世間を騒がせる物騒な事件が多発している。毎日ニュースを見るのが怖いくらいで、子供を持つ親としては許しがたい話もたびたび耳にする。しかしこのような状況を変えていけるのは決して防犯グッズではないのである。建築的には敷地と家族構成、そのほかさまざまな状況に応じた工夫をすること、そして根本的には自分の住む町を生みやすい町にして行こうという意識を住んでいる人たちが持つことこそ唯一の解決策なのではないだろうか。

 
 
有限会社ますいいリビングカンパニー http://www.masuii.co.jp/index.htm
 
 
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