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  建築家トップ > バルセロナ便り >第7回
実測で見えたガウディデザイン バルセロナの陽光に魅せられて 最もガウディに近づいた建築家、田中裕也が綴る

事典への批判は、ビオレへの尊敬から来る苛立ちからか

その疑問を探るため自ら問題の百科事典を手にとって中を覗いて見ることにした。私のフランス語知識では、スペイン語の様に読めないが、所々共通する単語があるので、それをあてにしながら目を通した。最初に気が付くのは豊富な挿絵である。
すごい辞書を相手にガウディが批判しているのである。ということは、それなりの建築詳細に至る理解があっての客観性と創造性によるのだろうと思った。
広く浅いという意味での表現手段から“百科事典”と言うのであれば、“出版社の都合に合わせての事典”とは、一つの実例をもって多くの展開をし、一方で検証の欠落を訴えていることになる。
それにしても私は、ビオレの挿絵に見とれて批判の余地がないとさえ思えた。
ガウディ建築の中でも数え切れないほどビオレの描いた建築詳細を利用していることから、彼も同じようにビオレの作図に魅せられていたということになる。
そんな“フランス・ゴシック建築図鑑”とも言える本で、私もガウディが参考にしたと思われる階段部分の挿絵に再度目を通してみた。
確かにその階段が納まっている。
 
ガウディのデザインにはビオレの影響が随所に見られる
 
サクラダ・ファミリア協会階段室
サクラダ・ファミリア協会階段室
この誕生の門内部に見られる詳細をビオレの事典と比較して感じさせられるのは、ガウディの作品がビオレの事典なくしてあり得ないということである。
サグラダ・ファミリア教会の螺旋階段はその一例である。
しかも階段だけでなくボールトの形、バラ窓、煙突、石組、迫り持ちまでも同様である。
この螺旋階段室では、その中央に柱がなく、外周の壁と中央部の階段桁だけで維持されている螺旋階段(スペイン語で階段室の中央に芯柱があってその周囲に踏み段が重ねられた螺旋階段を“芯付き螺旋階段”という。しかしガウディの利用した芯がない螺旋階段は、適当な呼び名がついていないようなので今後は“芯がない”つまり“目が抜けている”ということから“目抜き螺旋階段”と呼ぶことにする)で中央では殆ど階段桁が垂直でありその部分は手摺りとしても利用できる。
階段幅員は60cm、蹴上は21cmである。
狭い階段ではあるが一人で利用するには支障がない。その周囲の開口部の位置関係も同時に測った。
私は、ガウディでも歴史的建造物を参考にしているということが理解できたことで、おかしな安堵感を覚えた。
この階段はサグラダ・ファミリア教会の他にエル・カプリチョ、カサ・バトリョの中にも見られる。
 
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