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  建築家トップ > バルセロナ便り > 第117回
実測で見えたガウディデザイン バルセロナの陽光に魅せられて 最もガウディに近づいた建築家、田中裕也が綴る

ガウディの気持ちになって植栽を

エル・カプリチョの北側斜面に見られる陥没部の補修では、州政府の敷地側に対して緩やかな斜面になり、舗装では明らかに補強が必要である。
また南側の土塁部分は芝が植えられ、およそ4m間隔でガーデニング・ライトとスポット・ライトが無造作に設置されている。せっかくの芝やコケが生かされていない。照明の配置や植栽では改良の余地がある。
これからは造園や植栽では、地形を生かしたインフラ整備を検討しなくてはならない。さらにカンタブリア政府の管轄となる土地との関わりをどうするかも検討しなくてはならない。
現在のところエル・カプリチョへのエントラスは4カ所となっている。そのうちの2カ所はカンタブリア政府の敷地からのエントラスとなる。

政府管轄の庭は放置状態で、リニュウアルしたエル・カプリチョには相応しくない。さらにセキュリティー問題も残されている。これらを解決しなければ敷地内で人身事故がおこった場合、大変な負担がエル・カプリチョにかかることとなる。
カンタブリア政府にとって、エル・カプリチョは重要な観光スポットとなっているのは官僚達との話し合いで明らかで、観光スポットとなる所の舗装には政府の対応も必要となる。
とりあえず、ガーデニング・ライトを塀に取り付けることで芝の景観を損なわないように指示したが、まだ全体に暗く、適切な街灯も必要である。

また北側面の建物前に大きな棕櫚(シュロ)の木があった。建築に関わる植物の植栽方位は重要であり、それを間違えると建築に大きな悪影響を及ぼす事にもなる。その意味からしてもこの北側面に接して植栽された棕櫚は、その成長と葉の大きさも含めて建築に大きな影をつくり、室内を暗くするだけでなく外部の眺望や景観に対しても障害となり、しかもオリジナルではないことから取り除くことにした。
念のために建築当時の写真でもチェックしたが、北側の棕櫚は確認できなかった。せっかく大きく成長した棕櫚には気の毒であったが、コミージャス役場と相談して撤去させてもらう。勿論コミージャス役場に処分または移植の提案をしたのだが、全くの無関心。本来であれば他の空地に棕櫚を移動することも可能であるがそれも無視されてしまったのだ。

エル・カプリチョ周囲の植樹は、芝生とコケを中心としてところどころにポイント的な植栽が考えられると思った。既存の植物を残しながら、オリジナルとしてのマキシモ・ディアス・キハーノのノスタルジックな作品の演出となることも考える。そうすることでカンタブリア地方の特性である牧草と芝に覆われた土地のイメージの延長にコミージャスがある、という外構景観になると考えたのだがその難しさはある。その環境にキハーノのインド洋諸島の想い出をどのようにガウディが演出したのか、ということを想像しながら検討している。

地域性を尊重するガウディ手法ということであれば、このような手法は自然であると考えるが、勿論、これは私見ではある。しかし周囲の景観から感じた自然の再現ということを感じたのだ。

   
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