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実測で見えたガウディデザイン バルセロナの陽光に魅せられて 最もガウディに近づいた建築家、田中裕也が綴る

津波にも耐えられる建築物のヒント

ガウディは
「創作者は創作物を作りだし、新たな作品となる。そのために自然の法則を探し、他の創作者にも協力をする」
と言っている。
この中で示している「自然の法則」とは地球上における重力である。日常の生活では大きな要素であり、この重力の影響を受けないものはないだろう。
宇宙の4元素とされている火、空気、水、地の中でエコシステムが作られ、その中で育まれた生命体が存続している。この仕組みを巧く利用することで、より自然に沿った無理のない生活環境が見出せるのだろうが、どうも知恵ある人々はそれ以外の事を望む。
お猿さんはよく木に登る。しかしおっちょこちょいのお猿さんは時には木から落ちることさえある。つまりエコに従わないと重力には勝てずに落ちてしまうのだ。

人家の災害で水害と地震、そして津波という連鎖反応による災害が地域に大きな傷跡を残しているのは生々しい事実として記憶に新しい。
勿論海岸近くに人家を構える事そのものが問題であることは津波でも証明されている。だからといって海から離れると水産業に頼る漁師達には大きな影響を及ぼす。
どうすればよいのか。
まずは津波や水害に堪えられるような建築がありえるかという事になる。
地震に耐えなくてはならない。次に水害に耐え津波に堪えられるという建築となる。
そんな条件からすぐに浮かび上がるのは水上建築、つまりウオーター・フロントのような仕組みの建築が考えられるが、これも昨年のような20m以上の高さにもなる津波にたえられるだろうか。コストを度外視すれば何でも可能性はあるが、経済性に任せた人工的な工作物にどれほどの耐力が期待できるのだろうか。それも馬鹿げているとしかいえない。津波で想定されている高さ以上の場所に移るというと住民の非難を浴びるがそれも知恵である。

次に考えられる水上住居というのも水の多い都市には現実としてみられるので、それも不可能ではない。津波で被害を受けなかった漁師は偶然に漁に出て行って助かったと言う。つまり沖合の船にいたからだという。

そこで地上に定着させた建築となれば地震や水圧、水力そして水平力に耐えられる建築を考えなければならない。

何百年に一度くるか来ないか解らない災害に対応できるような建築を本腰で考える必要があるのかという課題がある。それよりも現代建築がその年月を耐えうるものなのか。
いずれにせよ明日にでもくるような津波を想定した場合に、建物はどうあるべきかである。水中にいる動物達の形から得られる形を建築に取り入れる事も考えられる。
中でもシェルや流線型の形が建築の形になるということなのだろう。
しかも水が流れてきても水圧に耐える。

近代建築ではシェル構造としてルコルビジェを筆頭に世界中に広がったことは学生時代の建築史でも想い出す。

それも、ガウディ建築の中で見られるサグラダ・ファミリア教会付属小学校のシェルのような構造体に端を発しているとされている。
     
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