破砕タイルをドームの外部仕上げ材とした調教場の越屋根部分は、不思議な構造体である。確かにドームの頂点では荷重ゼロに等しいが、そこに穴が空いても問題がないという事はローマのパンテオンでも既に知られている。 ところがガウディの場合は、その部分を採光とし、更に越屋根を載せている。 これはマシア(カタルニア民家の通称)によく見られる明かり取りと類似する。その荷重をどのように解決しているのだろうかということになる。 その越屋根部分の周囲には、3つの煉瓦造リングがついていることは既にpart21でも説明した。 ガウディは、基本的に無駄な装飾を省く方向で建築を検討していたことから、この煉瓦造リングも装飾的概念では取り付けられられていないということになる。 単に越屋根の破砕タイルの仕上げをするためのアクセスだけでもなさそうだということになる。 とすれば他に考えられるのはその越屋根の荷重の反力としての効果とボールト施工時の歪み止めということになる。 つまり越屋根の採光部の掃除をするためだけに解決したのではないのだろうということが考えられる。越屋根の鉛直荷重による反力をここで対応できるように考えたのだろうか。ガウディの建築の謎解きには必要不可欠な、自然物理的な理解と構造的理念の理解が必要である。 残念なのは、寸法は凡そ測れてもまだその構造力学としての裏付けができないままになっていること。