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建築家トップ > バルセロナ便り > 第253回

実測で見えたガウディデザイン バルセロナの陽光に魅せられて 最もガウディに近づいた建築家、田中裕也が綴る

人間の成長が、芸術・建築を進化させる

ガウディもサグラダ・ファミリア教会建設委員会の中の建築部門の大所帯で工事を維持していた。もはや一人の建築家だけではなく計画、施工では各分野の技術者や職人達が集まっての作業となっている。
ガウディ時代には200人以上もの職人達がいたとされている。
それらの職人達の管理指導そしてワークショップも常に行っていたと言う事になる。ガウディの協力者の中で親子代々でガウディに協力していた模型職人、ホワン・マタマラの存在は重要である。しかも彼は未発表の「ガウディとの道のり」の原稿を王立ガウディ研究室、故バセゴダ教授に預けていた。
私はこのタイプライターと手描きで書かれた原稿を、2010年2月22日から2013年6月21日までかけて全てをワードに転写する事ができた。
その結果ガウディの私生活や協力者達との関係も浮き彫りになってきた。
それにより、バセゴダ教授の話しの内容も裏づけされたりもしてきた。

人間ガウディを見るには他に、1873年から1879年にかけてのガウディの手記、ホワン・ベルゴスやセサール・マルティネールによる会話集も参考になる。
次に建築作品と対峙させながら作品詳細の変遷をみることでガウディの意図が読み取れるようになってくる。それは実はガウディコードの骨子にもなっている。
初めて見たガウディ建築の印象と今の建築の印象では、43年のギャップがある。
そこで見えてくるものは何か。
見る側の成長に応じた解釈ができるようになるだけではなく、その作品を実測するという作業で今まで誰も見た事も触れた事もない部分に、輝くところがあることに気がつく。
それを見つける事で、誰もが初めて見たり聞いたり触れたりするときの動揺と感動が一気に彷彿する。それが好奇心を高める原動力になり私をこの世界に引き止めている理由にもなっている。
科学や人々の成長は、何千年もかけてその繰り返しを続けてきて現在があるわけで将来もさらに成長し続ける。これからもまた永久的に続く生活の営みなのである。
建築と生活は密着しておりその空間、器を計画するのが建築家の役目だといえるだろう。

つまり水を飲む場合でも、手ですくって水を飲むことから、植物の葉、紙、プスチック、木、クリスタル・金属、金等の材質による器で飲むようになる。
しかもそのコップは無地もあればデコレートされているものもあったりする。材質によってそれぞれに味までも異なる。つまり水を飲む行為すら、その形、模様、色、手段によって感性を刺激することができるわけで、その些細な道具でさえも生活の豊かさにも関わる大きなファクターにもなったりする。

つまり人々が、その昔、生活の豊かさを探求しはじめたころから、同義の美を求める行為が始まっていたのである。過去の人達は現在の人達と同じようにその時代の知恵とアイデアを取り入れながら、時代を反映させてきたことは道具や器の形態によって裏打ちされている。

     
田中裕也氏プロフィール
 
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