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建築家トップ > バルセロナ便り > 第283回

実測で見えたガウディデザイン バルセロナの陽光に魅せられて 最もガウディに近づいた建築家、田中裕也が綴る

アカデミア賞を受賞して

ガウディの実測・作図の作業を続けてきて今年で丁度40年となる。
2018年2月9日、全国日本学士会によるアカデミア賞を京都で受賞した。
予定にしていなかったことである。
この世の中、不思議なことだらけである。一つのことを追いかけると専門馬鹿になる、と学生時代に誰かから聞かされたことがある。
でもそれはあくまでも他人事。
私は自分の腕だけを信じてここまでやってこられたのは結果であり、成り行きでそうなってしまっただけのことである。これしかないと思った時、自分の中で安心するものがあり、無心にそれだけに専念できたことは不思議であって不思議ではない。
周囲から見れば不安定であり、不安に思うことが一般的であるように見える。本人は無心に信じ切ってバイトをしながら自分のしたい研究を続けてきた結果がそうなったのである。無理してこのようになったのではなく決断することで「不思議な壁」はスッと消えたのだと思えている。つまり自分では壁と見えることは、つまり意識の問題であり自分の進むべき道の矛先を決意することで全てに邁進する。

40年研究は、自分の生活も含めての人生であり、それを30分で説明することを設定された。その記念講演の為に原稿用紙12枚ほどとスライド28枚を用意し、1分ごとに画像が切り替わるように設定した。

ところが私の前の受賞者たちの記念講演がテキスト無しで人生観を語っている姿を見て、私もいつものようにスライドに合わせてテキスト無しの講演にしようと急遽変更した。心、気持ち、思いやり、そして波長という精神的な内容に終始させた講演内容となった。
途中で主催者側の事務局の関係者が、ホール入口脇から左腕を掲げて右手で腕時計を指していた。時間の合図であった。私は速やかに講演を終えることで拍手をいただいた。
翌日、ホテルでの朝食で、兄から20分は超過していたという注意を受けた。
自分の中では一瞬の50分の話であった。
つまり私の準備していたスライドの設定は、解除され勝手にスライドが動き始めた。予定されていた私の講演時間も超過しスライドが2回転していたのか。これも全く予期しなかった出来事である。

私としてははずかしいハプニングとなってしまったが、なんとか「気持ちと波長」で話を終わらせることができた。

私の講演というのは、テキストはいらない生の声を聞いていただくこと、それが自らの経験に従った研究であることを裏付けると確信した。

ただ今までのスライドの構成とは全く違う。
つまり歴史、聖書、神話、そして幾何学や星座の関わる建築演出がガウディのエッセンスであることを学んだことで、今までになかったガウディ建築についての話になったと信じている。決してレトリックな話の内容ではなく、むしろ「昔々の語り」をしたつもりで誰にでも理解できるようにと思った。
つまり40年のガウディ建築の研究は、実測と作図から修得した演出と匠であり、それを具体的な生活や自然科学がベースになっているということでの説明である。

今でこそ私が見つけてきた600項目以上のガウディ・コードの話も一部紹介した。
     
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