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建築家トップ > バルセロナ便り > 第308回

実測で見えたガウディデザイン バルセロナの陽光に魅せられて 最もガウディに近づいた建築家、田中裕也が綴る

コロナ後の人間らしい環境やまちづくりとは?

昨年の12月からコロナ・ウィルスが流行して現在、スペインでは4月25日で感染者202,889人、死者22,524人と政府では発表している。
まるで戦中にいるようである。このウィルスが生命体のようで生命体ではないというのである。つまり他の細胞に侵入して変化し、変異を起こして拡大するというのがこのウィルスの特性だという。
形態として特にインフルエンザのウィルスと同じように球体にツノが何本も突き出ている形で、ちょうど20世紀初頭の爆弾のような形にも見える。
そのツノの先はラッパ状に広がりこれを持つ部分が糖タンパク質(Glicoproteina)と言われ、これが感染するために粘膜に絡みつき他の細胞に侵入する。
電子顕微鏡で初めてその姿を見ることができるという 0.1μmのサイズである。

病気についてはガウディも、1911年にはマルタ熱で酷い目にあってフランス国境との境にあるプチェルダで療養していたことがある。その時に死と向き合ったのか遺書をサグラダ・ファミリア教会のために残している。同時に受難の門のスケッチもこの時にしている。人というのは死に直面すると人生観に変化をもたらすものなのだということがここでも裏付けられる。
今回のコロナ・ウィルスでどれだけの人々、企業、そして政治、国家に影響を及ぼすのだろうか非常に関心がある。庶民は虐待をはじめとして、人の生命もなんとも感じなくなってしまっている世の中となり、その中で平気に虐待や殺人、テロ、戦争、を引き起こし、メディアはそれらの動きを扇ぎ立てるかのように情報として取り上げ、ことを大げさにしてしまう。しかもそれがあたかも真実かのように。素人ではその信ぴょう性を見分けるのは困難なほどの巧妙さである。
時代と情報環境が数年の間にとんでもない形で変化を成し遂げている。
このようにして21世紀の前半を歩んできた。

文明の進化にはとても興味がある。端末、設備、機械、環境まで情報を利用して思いがけない世界を開いている。デジタルはその媒体として活用されてさらなる成長を展開している。
今後は、それに対応するウィルスが登場するということになるのだろう。さらに恐ろしいことが起きている。それは目に見えない世界との戦いとなりそれに犯される人間社会の変化である。
社会生活の中で人間同士に2mという距離を設定し、密なる場所での集会や会合も全てにおいてそれが適応され、メディアを通してのやり取りに替えられる時期なのだろうかと。これによって人間同士の接触がますます減ることになる。よって感性の潤いもなくなる。さらにそれらによる波動や波長も見えにくく感じにくくなる。

そう思うと これから始まる21世紀中期の世の中がさらに不安となる。

この状態で人間らしい環境やまちづくりはありえるのか。感性には限界や差別がないと私は思う。つまり国境がない世界である。その「らしさ」というのは感性の世界に関わることからその定義付けが問題となる。むしろ限られた空間でどのような生活空間を望むのかという枠を設定することで、計画の仕方が適正となるのか。ましてや社会や地域が変わればそこに住む人たちの生活基準は異なる。しかも習慣も異なる。その中での「らしさ」の検証は、まさにワークショップによる話し合いの場が最低条件、必要になるということになるのだろう。
     
田中裕也氏プロフィール
 
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