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建築家トップ > バルセロナ便り > 第317回

実測で見えたガウディデザイン バルセロナの陽光に魅せられて 最もガウディに近づいた建築家、田中裕也が綴る

測り方を探し、測ることで見つかる法則

ガウディ日誌の中で
「装飾に関心を持つには、詩的アイデアを想起させなければならない。目的は歴史的、伝説的、躍動的、象徴的、人間の生活における寓話、躍動と受難などである。そして自然を尊重し、動物王国、植物、地形を表現することもできる。また体の形態、表面、ライン、それら全ての構成における幾何学そして美学の本質である」
と装飾についての詩的アイデアとして歴史・体の形態から始まり幾何学を読み取ろうしている姿勢が伺える。「神話をベースに」という言葉もガウディ建築を実測・作図していて納得させられる。
つまり日誌により、ガウディの建築論を実際の計画に実施しているという裏付けになる。しかも神話に関してはスペインの場合、そしてカタルニア州の場合にはギリシャ時代、ローマ時代、キリスト教徒時代、回教徒時代、ゴシック時代、ルネッサンス時代、ロココ時代、新回教徒時代、モデルニズモ時代、アールデコ時代、近代、現代、そして非線形時代の現代となる。
ガウディが生まれた時代は、1852年であるから新回教徒時代ネオムデハール様式の時代からモデルニズモ時代、すなわちアールヌーボーやセゼッション時代とも言われていた頃である。
そこでガウディはそのような社会的な流れに沿って芸術や建築を考えていたのだろうかと振り返ってみた。

彼の残した日誌の既述のようなコメントから、時代の流れに沿うというよりものの在り方の本質を追求している姿勢が強く、しかものちの協力者との会話でもその本質的な姿勢による芸術論に終始していると思えるようになってきた。
ここで特に強調できるのは「自然の尊重」そしてそれらの形態からの幾何学とそれらがもたらす美学ということにある。
それはガウディにとって生涯の主題であり探求であり、それが理想としてのより完璧なゴシック建築への探求ということにリンクしていく。

実測から作図に入る手段は実測の整理ということになる。しかもできるだけ早いうちに整理しなければ、実測した時のポイントさえも忘れる。つまり実測をするとその日のうちに整理を始めるという連携作業なのだ。そのように自分を習慣づけていた。
今では散歩するにも歩数を数えたりして道路幅を測ったり街の区間を測ったり、バス停から次のバス停までの歩数を測ることもある。するとそこからある種の規則性も見出せる。つまり人々の生活空間の広さを体で理解できることになる。
例えば通りの区画や通りのピッチ、つまり次の通りまでの長さとか理想的な幅というのがあることに気がつく。

バルセロナの街は1860年にイルデフォンソ・セルダにより、バルセロナ大聖堂を中心とした卵型のゴシック地区を囲うようにしてグリッド状の都市計画が施行された。そのグリットは道路芯で平均155mx155mとなっている。道路幅員は20mとなっていることから、建物ブロックは133mx133mとなる。しかも道路が交差する十字路は視界を広げるための20m幅の隅切りがされているのが通常のグリットの標準ということになる。歩数にすると177歩(約133m)であり27歩(約20m)である。これらは自分の歩幅を0.75m(自分の足の3足分)として測った場合となる。
そのような方法も含めてそれぞれにあった測りえる方法でものの大きさを測ることで次のイメージにつなげてくれる。しかも測るものを先にスケッチしてそこに測った寸法を入れることで自分の宝になるということも特記する。

そこに日付を入れると想い出の一部として日記代わりともなる。そしてその測っている時のも気持ちも蘇る。
     
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