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実測で見えたガウディデザイン バルセロナの陽光に魅せられて 最もガウディに近づいた建築家、田中裕也が綴る


実測から探求へ

形あるものを測ってみるのは面白いことである。そこから見えるものは数字だけではないことに気づくまでには時が流れる。そこでようやく本格的な実測家への道が始まると思っている。
私の場合、建築家になりたいと幼い頃から志し、最近までその世界に突き進んできた。ところがどうだろう。それよりもさらに大きな世界というか面白い世界があることに気がつく。建築家達のようにものを測ったり計画したりする現実的な社会での対応をはかる。さらにその世界では社会的な制限と秩序があり、それに沿った計画を約束させられる。人々が生活する空間を計画する立場の人達であるから、その安全性が第一に計画されるからである。芸術性や哲学性などという概念からは離れることさえある。それは社会的な用途に従うことで、経済性と規模によって制限されるからである。従って人々の生活にとって必要な感性の部分が抜けてしまうことさえある。それでも少数の建築家達は自分達の感性の部分で凌ぎを削るようにして演出方法を模索する。 

ところが実測家による建築の世界はどうなっているのか。私の場合は世界の遺跡を実測し、そこからできる限りの考察ができる要素を見つけるのも建築家としての作業と見ている。この手法は日本での建築学生時代と建築事務所時代では知ることのできなかった世界である。しかも実測、作図、古文書での比較と考察、そして分析から見えてくる世界となる。
すると芸術、科学、民俗学、生物学、社会、歴史、時には政治も自然の流れに従ってその関連性を見出せるようになる。分野の違った世界での専門用語を頻繁に目にするようになる。それに従って何度でもその単語も理解できるまで調べたりもする。幸いにして現代ではインターネットでも調べることができるので、自分でもその世界を覗き見ができるようになる。中でも面白いと思えるのは数学や物理の世界である。学生時代に教わることのなかったより深い数学の世界は、自分の理解に沿って丁寧に見てみる。すると面白い世界であるということにも気がつく。物理の世界は生活に直接関わることであるからさらに興味を持てるようになる。
建築の世界は、生活空間や科学も含めた芸術にまで関わる世界であるから、より多くのことが理解できるような活動をしなくてはならないということに気がつく。

そして本来の建築家としての役目は何かと考えさせられた時、単に家や建築を作るだけではなく地域や社会にまで影響することから、その配慮も必要となることに気づかされる。私の学生時代は特に勉強無精であったことを自覚している。
ところが現在は自ら実測家としての作業を進めている。まるで天地の差があるほどに自分の活動範囲が広がった。自分が成長することはありがたいことである。しかも過去の建築家ガウディという作家の作品を、自分なりの尺度で研究することでここまで掘り下げることができるということに気がつくことができた。そして今では世界にはガウディ建築とは異なる建築遺跡が多く点在している。それらの建築的な分析と当時のコードを見つけ出す作業はどうなっているのだろうか。単に考古学的に発掘して現状の考察程度で終始しているようにも見ている。
私としてはガウディ建築の研究で見えてきたコード探しを他の歴史的建造物にもありえると信じている。

今後その調査も含めてこれまでの調査方法の応用編をしてみようと計画している。
     
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