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実測で見えたガウディデザイン バルセロナの陽光に魅せられて 最もガウディに近づいた建築家、田中裕也が綴る

幾何学から構造体としての物理学へ

ガウディはベルゴスとの会話の中でカテナリー曲線について「重力は放射線状の引張り(平行ではない)であり、圧縮によるカテナリーは地球の中心に向かって閉じている。逆にするとカテナリーは天に向かって無限に開いている。
カテナリーは二つからなる。一つは閉じてもう一つは無限に開く。これは楕円の接点(閉鎖)で双曲線(開放)である
」と説明している。
従来、建築の世界では馴染みのなかったカテナリー曲線を、ガウディがどうして建築に利用することになったのか検証する必要がある。まず放物曲線とカテナリー曲線の違いは、物理学者の故松倉保夫先生の説明から三角関数hが入るかどうかだという。
実際にはカテナリー曲線と非常に良く似ている。放物曲線は二次関数で描ける線である。しかも修正幾何学で二本の線を移動する直線によって描く線が放物曲線となる。
そこで放物曲線との違いはというと、2次関数の放物曲線に関数の入ったバイオリズムのような連続曲線がカテナリー曲線だとされている。
ところがカテナリー曲線というのは、実際には修正幾何学で描くことができる放物曲線とカテナリー曲線(別名フニクラー曲線)とを比較する場合、幅と高さを設定してその中での曲率を調べてみると、幾何学上の放物曲線はカテナリー曲線より細い。
ガウディが特に実験に固執するのは、理論では見えてこない部分を実験に従うことで、時間の節約と施工の合理化をテーマに彼の建築が計画されていたことによる。普通、要素が増えればその分の詳細が増えるわけで、図面には起こしきれない部分も増えることもある。
特に曲線となるπも含まれたりするので、ある程度の見込みをしなくては施工もしにくくなるのだ。
直線で作図通りに施工すると、施工では納まらない。その辺りをガウディは理解していたのだろう。そこで模型が中心となる。
模型は彼自ら作っていたことは、サグラダ・ファミリア教会でのホワン・マタマラによるデッサンでも知られている。

曲線の中でも特に螺旋は彼の建築に重要な意味を示しているが、円錐が「幾何学の母」というガウディの考えは何か。

円錐は点からはじまり三角形、円、楕円、放物曲線、等が含まれている。ガウディの使用する初期の作品の中にエレメントとしてのハニー・カムがあるが、これも平面における最小限の分割である。たとえば正三角形を二つ合わせると菱形となり、三つで台形、そして6つ合わせると正六角形となる。
このハニー・カムはガウディ建築には「モジュール」として利用しているともいえる。例えば、初期の作品フィンカ・グエルの屋上手すりから始まり、グエル邸の中央ホールのタイル、そしてテレサ学院のトリビューンにある透かし窓となる。コロニア・グエル地下聖堂では窓格子、サグラダ・ファミリア教会では尖塔の立体幾何学の6角形から3角形に変わって尖塔を支えている。

     
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