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建築家トップ > バルセロナ便り > 第186回

実測で見えたガウディデザイン バルセロナの陽光に魅せられて 最もガウディに近づいた建築家、田中裕也が綴る

スピードと相反する手仕事の価値

ガウディは日誌の中で、手間について
中世では高価な工事はなかったが、普及は欠かせないものとなり、仕事の僅かな報酬は、限り無い上品な詳細を作り出しモニュメントを飾った。実際には、詳細にやたら手間をかけられない。今日では他の機械や工法を利用するといったことで、その当時の仕事の要素はなく的確な状態の建設に戻ることすらもできない。
現代工業の大半の生産物は、芸術作品による経済性の結果である。
機械の導入は、工業製品を安価にしたが手間賃を高くした。それが全てに派生して建設にもその影響をあたえた。
昔の建築のように手間が重視されなくなって、建設工法の工程、構成が手間の代わりに複雑になった

と書いている。
つまり現代の技術と機械化は手間を省けるようになったものの、逆にその手間は高価になっている事を示唆している。しかも以前のような上品さや気品はなくなっている。
これも産業革命の機械化による社会動向へのガウディの反応だろう。
今では情報化も進み、さらに機械化とIT化によって社会変化の加速化が進んでいる事になる。
そうなると人間の手間はまさに宝石のようになる。
しかしその宝石のような手間にも質の違いもあることを認識しなければならない。その質はここの付加価値の付け方次第ということになる。
これ以上の説明は、情報化社会においてはもう必要はない。

ここで人間社会を地球サイズでみると、バクテリアにも満たないサイズであることに気がつく。しかもその中で理性を超越して文明の変遷を加速化している。人口増加も加速化している。情報も加速化している。若者達の動きも加速化している。
ここで!!バクテリア諸君、ストップ!!
そんなに老朽化を急いでどこへ行くである。高速で走り出すと視界が狭くなる社会となる。
人によっては急がなければおいて行かれてしまうというフォビア(恐怖症)にさいなまれる。実は自然というのは地球の回転にしたがって老化しているもののこれからもまだ何億年と生態変化が続く。その中でさらにバクテリアも良性と悪性に進化するだろう。できれば地球の生態にかなった良性のバクテリアでありたいものである。つまり未来はまだ続く。この先を考えるにはバーチャルの世界ではない現実の生活をもう一度振り返る必要もある。
例えば人間本来の姿で作って感じるものとは何かということだろう。バクテリアにも満たないサイズだけどできるだけ地球に優しい良性のバクテリアでありたいので、五感を最大限に利用できる環境を維持することで健康維持にも繋がる。そこからさらに新たな方向性を見出すことになるのだがそれすらも面倒におもう人間バクテリアもいる。

情報化社会に追従するかどうかは個人差がある。ウサギと亀の競争の例えでも想い出していただければわかりやすいのかもしれない。どちらも同じ目的にたどり着くには同じエネルギーが必要である。 その上でどちらを選択するかはそれぞれである。

亀は空気の流れや環境を堪能しながら時間をかけて目的地に到達する。ところがウサギは点と点を繋ぐだけの体験だけである。そこで知恵のある人間であればどちらを選択するのだろうかという事になる。
人生の価値観までは介入しないが、社会の流れの中でそんな事を時々考えさせられる。

ガウディは、ユーモアがあり創造豊かなアイデアの持ち主であった。
     
田中裕也氏プロフィール
 
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